「不安がなくて、まったくの自由」

ほん

(アサガオの芽がこんなにいっぺんに出ているの、初めて見ました。”密”ですよね)

シエばあちゃんの整形外科通院の日。通勤前にカセンの散歩にでかけたすんちゃんが、戻ってきて「ばあちゃん、もう着替えて保険証と財布を用意してた」と教えてくれました。迎えの約束は9時ですからね、まだ3時間以上あります。ばあちゃん、張り切ってるのかな。

少し早目に迎えに行って、病院ではレントゲンをとって無事に終了。次は2週間後。

昼ごはんまでまだまだあるので、病院の近くにある農産物直売所へ行ってみました。漬物時季には遠いので、白菜や大根の大量販売もなくて、わりと空いてる感じ。ばあちゃんはカートを押して、そんなに広くない店内をクルクルと何周かして、仏壇用のお花とデザートなんかをかごに入れていました。

会計を終えて荷物を詰めながら、やれこの大根は太すぎたかなとか、そのデザート(冷凍チーズケーキ)おいしそうですねとか言いあっていると、ばあちゃんがしみじみと「買い物も楽しいもんだね」

自分で好きな物を、欲しい分だけ選べるのは、最近のばあちゃんにとって、久しぶりの贅沢かもしれません。

買い物なんて、いままでにきっと2万回くらいしてるはずだけど、そう言ってもらえてうれしかった。

花束のような大きさの「赤紫蘇」を買いました

炊事をしている人にとって買い物は、時間に追われ必要に迫られてことが多いんじゃないでしょうか。私も今までずっとそういう生活です。「晩御飯までにあれ買って、これ作って」です。いつも時間に追いかけられている気がしていました。

母が施設に入って、4月からは週3日の勤務にしてもらったので、退職までの3か月間はわりと時間が自由になりました。何時に起きても、寝ても大丈夫。何を食べても、食べなくても問題ない。さぞや、楽しい毎日だったと思うでしょう。まあ、少しは気楽でしたが。

自分ひとりのためにはなかなか料理はできないものです。張り合いは無し、喜びもあまり無し。夜更かしだけは充分に堪能しました。でも腰の手術の退院直後でもあり、5月までは何処へ行くのも数キロの重さのコルセットをつけていました。いつもソファに座って唸っていた記憶しかありません。

「〇〇の不安が無くて、まったく自由」というのは、どういう状態なのでしょう。〇〇の中には何が入るのが1番望ましいのかな。お金かな。健康かな。人間関係かな。

「徐福(じょふく)伝説」という漫画があります。(古代中国の)秦の始皇帝から不老不死の妙薬を探すようにと申し付かった徐福が、童子(男女計46人)を船に乗せて蓬莱を目指すというものです。作品の中では蓬莱は弥生時代の日本として描かれてます。

「徐福伝説」(諸星大二郎)月刊少年ジャンプ1979年1月号掲載 集英社

『徐福伝説』ジャンプ・スーパー・コミックス 1978年3月初版 (「徐福伝説」「マッドメン」「鳥が森に帰る時」「マンハッタンの黒船」収録)集英社

諸星大二郎はデビュー時から好きで、この「徐福伝説」も忘れられない一冊です。でも作品の内容よりも、時の権力者”秦の始皇帝”が不老不死の薬を求めたという事を真っ先に思い出します。権力があって、たぶんお金もあって、たぶん何でも手に入れられる彼が、最終的に欲しいものは不老不死。結局そこに行き着くんでしょうか。

そういえば諸星大二郎の初期の代表作(そして私が一番好きな)「暗黒神話」の中にも不老不死の泉というのが出てきます。邪馬台国の秘宝さがしていた若い女性が、不老不死の泉を見つけて浸かってしまいます。

 永遠に生きる・・若く美しいままで・・この わたしが!

「暗黒神話」餓鬼の巻 91頁 諸星大二郎

人間の弱い肉体で 不老不死など可能だと思うかね?

ムリなことじゃ!

同 94頁

シエばあちゃんなんかは「ぴんぴんコロリ」と逝くからね,と言ってます。(そして私は、せめて心の準備をさせてねと返事してます)このごろは笑い話では済まない年齢になってきました。

せめてお互い健康でと思うせいか、それとも身体が欲するのか、今日も元気になりそうなものを作ってしまいました。午前中にばあちゃんと行った店で買った赤紫蘇のシロップです。

写真の大きな束を三つも買ったのに、葉っぱ部分はあわせて200グラムしかありませんでした。葉っぱって軽いのね。葉を摘んで・洗って・煮出して・漉して・砂糖をいれて煮詰めて・酸味(今日はレモン汁)を入れる。結構疲れました。

イメージでは”さわやか~”で”すっきり元気になる~”はずでしたが、わりと野性味あふれたと言うか、クセが強いものになりました。水で割って氷をたくさん入れると、まあまあ飲める。でも期待が大きかったので、つまんない気持ちです。

何かが違っていたのかもしれない。ほかの人のブログには「おいしい~」と書いてあるもんね。もう一度作るべきか。シロップ買って来るべきか。うーん。

こういう「なんてことナイもの」に関しては、いくらでも悩めますね。

左からおいしい順に、①レオじいちゃんちの梅で作った梅酒・3年もの ②先日発作的に作った梅シロップ ③本日作成赤シソジュース・色はキレイなんだけど。

自動製氷装置が必要なわけが良くわかる一枚になりました。

コメント

  1. すとらと より:

    シエおばあちゃんは優しいお嫁さんがいて幸せ者ですね(*^-^*) 
    旦那様のすんちゃんさんも果報者!
    「暗黒神話」私も大好きです。1巻ものなのに3巻分くらいは詰まっている感じ。
    ○○に入る言葉、私なら『ある一定の時間の外に出ること』(の不安がなくて、まったく自由)とでもします。いわゆるループ状態ですね。期間は一日じゃ足りないので夏の2週間くらいとか。初期設定として健康で、お金も必要な分があって、家族も元気で、住むところがあって、しかも掃除をしたばかり、ゴミも出した後というのがあれば嬉しいです。できれば若返って…とか、ああ…だんだん欲が深くなってまいりました。

  2. すとらとさん、今晩は。
    「ゴミを出した後」というのが、とてもリアルですね^^;
    夏の2週間と言うことは、南の島を想定しているんでしょうか。
    2週間と言わず半年くらい、お金は宝くじで数億円当てたあと、というのがいいですねえ。かなり欲深ですね。