三題噺ではなくて、命の糧のはなし

ほん
チョコと書いて「至福」と読ませよう

(HAPPY VALENTINE ♡ 家族に贈ったのは今年もガトーフェスタハラダのです。いつものラスクも好きだけど、この時期の特別バージョンは堪りません。自分の分が無いので優しいすんちゃんやポヨにわけてもらいます)

先週の札幌行で、何軒かの古本屋を巡り、何十冊かを買い込みました。いわゆるチェーン店では無い所ばかりだったので、本の状態も値段の付け方も様々で、そこがまた面白かった。

若竹七海さんの文庫(葉村晶シリーズ)が揃ってるお店がありました。チェーン店よりは少し高めかな、でも小さな古書店を応援する意味で4冊購入。北斗市までの帰りのバスの中でパラパラ開いてみました。あらびっくり。レシートが3枚挟まってるじゃありませんか!これは、売り主さんのものでしょうか。

他人のレシートですが、じっくり眺めて見ました。自分の買い物のレシートは、合計金額とかポイントとかそんなところしか見ませんが、実はレシートっていろんな情報がわかるんですね。小学生の頃は本気で名探偵になりたかったらんどくの血が騒ぎますよ、ふふふ。

このレシートの持ち主は2016年12月某日(日曜日)の朝、札幌市麻生のほにゃららストアで食料品を買っています。いわし丸干し、ヨード卵、バナナにハムにサラダ。健康に気をつけている方のようです。そして夕方には同じく麻生のぺけぺけスーパーでコーヒー豆を買い、書店で本を3000円分も買っています。書店での支払いにはカードをつかっています。ね、何でもわかるでしょ、怖い怖い。

個人情報がダダ洩れ

このレシートが挟まっていた「静かな炎天」は、この日の4ヶ月前に出版されたばかり。きっと本屋で新刊を買ったのでしょうね。謎はすべて解けたぜ。(ここで決めポーズ)

レシート3枚ですもん、三題噺のお題かと思いましたよ。その男はケニア農園産のコーヒーを啜ってこう言った。お嬢さん、本を買うときはポイントを使うもんだぜ。じゃないとイワシも浮かばれないじゃないか・・・

すみません。文才ありません。

作家というのはやはり文章のプロなんだなと思うのは、優れたエッセイを読んだりした時。朝日新聞の土曜版に「作家の口福』という連載があります。もしかしたら、もう掲載していないかもしれませんが、購読していた頃は毎回とても楽しみにしていました。食に関するショートエッセイを作家1人が4回、まるまる1ヶ月を受け持っていました。おいしかった話、あの頃誰かと食べた味。そんな雑多な思い出を綴ったものです。さすが、とプロの方に言うのは失礼かもしれませんが、どの回も読ませる読ませる。その中で芥川賞作家の中村文則さんの「命の糧」(2010年10月23日掲載)は、思わず切り抜いて保存してしまったほどの『出来』でした。

何度も読み返しては、唸ったり涙ぐんだりします:朝日新聞 土曜版

命の糧、題名そのものの内容です。美味しかったものや楽しかったことを綴った回が多い中で、これは異色。作家としてデビューする前のぎりぎり貧しい生活のある日、中村さんはホットドッグを注文します。バイト先でつらい事があって、気持ちが沈んだ帰り道に「今日は何か外で食べよう」と思ったんです。彼の食費は1食200円。ホットドッグにしたのはそれが180円だったから。

ホットドッグを食べて、また明日も元気に働こうっていう話ではありません。だけどらんどくが「これ良いよ!」と力説すればするほど、どこがよいのか何だかわからなくなっちゃいます。力説はこのへんで辞めることにしようっと。他にもこれいいんだよなあと思った方がいるようで、「作家の口福 中村文則」で検索すると、この連載をまるまる紹介しているページがみつかりました。そちらもご参考に。

我が家が購読してたのはもう10年以上も前の事で、当時の連載をまとめたものが出版されています。中村文則さんだけじゃなく、恩田陸・井上荒野・池井戸潤・三浦しをん・・・などなどそうそうたる20名の作家の揃い踏みです。江國香織さんの「絹さやのすじの話」道尾秀介さんの「サウンド・オブ・サイレンスを聴くと白菜が食べたくなる話」。ね、読みたくなってくるでしょう。

真夜中に食べ物についてのブログを書いているので、ほんとにお腹がすいてきました。このままだとお腹が空きすぎて眠れないかもしれません。大変だあ、何か摂取しなくては!明日はいつもの病院へ、薬をもらいにいく日だけど、血液検査でとんでもない値がでてメガネ先生が「キーッ」っとなるかもしれないけど、何、構うもんですか。食っちゃえ食っちゃえ。

とは、ならない小心者です。せめて中村文則さんのエッセイをもう一度読みながら寝ようっと。『高価な食べ物であれ手頃な食べ物であれ、食は命の糧で、味は精神を救う』(朝日新聞2010年10月23日 「作家の口福」)

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コメント

  1. ナツメグ より:

    こんばんは。古本に挟まっていたレシートからそこまで見抜くとは…さすが、名探偵!私も最近レシートが挟まったままの古本に当たりました。その本を新刊で買ったときのレシートで、「これ栞替わりに使ったのかな?レシートin古本て虫入りの琥珀みたいだなー」と感心しつつ私も栞替わりに使わせてもらいました。が、レシート3枚+それぞれ違う時間帯ってなると、本に挟まったシチュエーションとかも気になりますね。意図とか。この本を買う人に自分を見つけてほしいというメッセージだったりして…誰かが待っているかもしれません。

  2. ナツメグさん、お久しぶりです。
    そうでしょう?だれかが助けを求めているかも、ですよね?
    よし、行くぞらんどく。ビューン(マントをひるがえして空をとんでゆく)