ケンシロウが指差すのは「明日への秘孔」

「老い」に向き合う

北斗市にある新函館北斗駅のロビーにはケンシロウ像が立っています。『北斗の拳』と北斗市の”北斗”繋がりで、原作者の武論尊さん、作画の原哲夫さん、(株)ノース・スターズ・ピクチャーズ、それに北斗市民有志から贈られたものです。

銅像の製作者も、清河北斗さんという方だそうです。北斗繋がりがもうひとつ(もう一人)重なりましたね。

この銅像のタイトルは『明日への秘孔』といいます。明日への希望とか、明日への架け橋じゃなくて「秘孔」。なんだかいいなあといつも思ってます。

全身図 あたたたー

明日への秘孔。そこツイて大丈夫なのかな。「お前、じゃなくて、明日はもう死んでいる」となったら、困っちゃうんじゃないかなとか考えるわけです。そんな面白がる余地がある像です。作画を担当した原哲夫さんによると「明日への希望を開くような秘孔をついているイメージ」だそうです。

ほぼ1年間会えていない母の事や、もの忘れと認知機能の衰えが著しい姑(シエばあちゃん)の事。うつうつする材料はあるけれど、それでもいいことも沢山あった。ケンシロウが世間の希望の秘孔を突きまくっているのだと嬉しいんだけど。

あまりお客さんがいなくて静かな北斗駅だけど、このケンシロウ像の所には、わりと訪問者がやって来ます。大体は若めのお兄さんで、ケンシロウ像や作家のサインなんかをチラッとみて写真をとると、そそくさと帰って行きます。

らんどくおばさんがケンシロウ像を見上げていると、不思議そうな顔をする人もいます。しかし若者よ、北斗の拳の連載が始まった1983年には、このおばさんはまだピチピチのおねえさんだったのだ。(なんと22歳だ!)いつか君も白髪が生え、関節が痛む日が来るのじゃよ。

11月もあと僅か。そろそろ喪中欠礼のハガキも届きはじめました。母に届いたものの中で「いったいこの方は誰だろう」と思うハガキがありました。道央の小さな町からのものです。その方のお母さまが今年亡くなられたとの知らせでした。

母の年賀状はここ数年は弟ハロが担当しています。宛名は自宅のパソコンの住所録から印刷します。つまり、母の交友関係はよく知っているはず。その弟が「知らないなあ」というのです。

今は特別養護老人ホームで暮らす実家の母は「女の子気質」な人でした。どこへ行くにも友達や家族と腕を組んでくっついて歩きます。買い物も、旅行も、果ては病院まで「一人じゃ嫌」なんです。おしゃれが好きでおしゃべりも好き。その日の出来事を私に電話で何時間も教えてくれました。だから私もかなり詳しく母の生活を知っています。

そんな私達姉弟が知らない人からの喪中欠礼ハガキ。年齢からいってもその「亡くなったお母さん」が母の知り合いだという可能性が高いでしょう。だけど、その方が住んでいたらしい小さな町には、母は一度も訪れたことがないはずです。息子さんが住所録を頼りに、連絡をくださったのかもしれません。

今年は実家の母の年賀状は、弟と私の連名で出すことにしました。親戚には、母が認知症が進んで施設に入ってることと、今回限りで年賀状をお終いにすることを知らせるつもりです。家の電話も解約するつもりなので、何か連絡したいときの為に、私と弟の携帯番号を書き添えます。

多分驚く人はそういないはず。皆それぞれに、だんだん認知症が進行していく母と接したことがあるのです。それでも去年の初めの大おばさんのお通夜には、ちょっとトンチンカンになりながらも参列していたんですから、寂しく感じてくれる人はいるでしょう。

もしお友達からの年賀状が届いたら、事情を書いた寒中見舞いを出す予定です。実は今年のお正月は、年賀状どころじゃなくてどこにも出していません。昨年は年末からお正月までの2週間をパリで過ごしていました。2年続けての、年賀状の不義理をしたので、このまま友人関係からは静かにフェードアウトしてしまうかもしれません。

本来なら、新年のご挨拶はうれしいもののはずです。こんな形でのお知らせは寂しいですね。

それにしても2年前には、二人で海外旅行していたなんて信じられません。認知症の進む速度の速さと言ったら、もう。他の観光地へは行かずに、ずっと同じ宿に連泊して、母の好きなモネの美術館を見よう、年末のカウントダウンはクルーズ船の上で過ごそうと、楽しみにしていました。

ホテルの部屋から見る夕暮れ

計画を立てたのは初夏でした。それからの半年でも病状は進んだので、母にとっても大変な旅行でした。(大変だったと思ったけど、旅行のあとそのまま実家で暮らし始めて「序の口」という言葉の意味を、思い知らされました)

認知症患者にとって、長時間のフライトは鬼門です。なぜずっと座ってなければいけないのか、ぜんぜん納得していません。大切なハンドバッグを座席の下に置くことも納得できません。カバンを抱きかかえる母と、なんとか足元に置かせようとするキャビンアテンダントさんの怒号が響く国際線。悪夢ですよ。(カバンをむしりとるガタイのいいアテンダントさんから「私のものに触らないでよ!!」と母が奪い返しました)高齢の方と飛行機での旅行を計画している皆さん、一日も早く決行されることをおススメします。認知症は待っててくれません。

パンダトイレ発見!

すこしほっこりする話題でとじましょう。リニューアルしたコンビニのトイレ。なんとパンダ仕様になってました。用事が無くても通いたいです。

コメント