街路樹が色づき始めました。北斗市の大野地区には通称「マルメロロード」がありまして、街路樹にはマルメロが実っています。たわわ、と言いたいところですが、今年は元気がありません。このマルメロ、香りはいいんですが、わりとぽろぽろ落果します。そのあたり中に落ちて腐るので、残念な景観になります。
マルメロは街路に植えてあるだけじゃなく、一般のお宅の庭にもちらほら見かけます。北斗市大野地区民にはとってもなじみ深い果実です。じつはらんどくんちのお隣はマルメロ農家さんでした。もう何年か前にやめてしまって、樹も切り倒してしまったけれど、毎年秋にはいい香りが漂っていたものです。借景という言葉があるけれど、あれは借景ならぬ借香でした。
今年のマルメロは、なんだか例年より高い気がします。消費税が内税になったからかもしれません。それでもこの季節だけのお楽しみですから、今年も作ってしまいましょう。いつもより控えめに12個だけ買ってきました。
マルメロたちの後ろに移っている鉢植えは「ミラクルフルーツ」です。とっても生育が遅いんですよ。ちゃしさん・アビィさんからのいただきもので、これでも6年目なんです、大きくなると小さな赤い実が成ります。その実を口に含んだあとでレモンなんかのすっぱーいモノを食べても酸味を感じません。だからミラクルフルーツ。
わたしのマルメロジャムの作り方は、お隣のマルメロ農家のおばさん直伝です。それまでは実を割って、種を取って、わりと大きめに切っていました。おばさんのレシピは割って種を取ったら、1センチほどに薄く切って、塩水に漬けておき、水気を切ったら(洗わない)砂糖をまぶして煮るというものです。
薄く切ってあるので、砂糖をまぶしたあと水分が出るのも早いし、煮えるのもあっという間です。塩水に漬けたあと、洗い流さないのでジャムにかすかな塩味が残っておいしいです。マルメロはペクチンが多いのか、少しでも煮詰めてしまうと次の日には固くなってスプーンでは歯がたたない代物になります。
割ったところ。バラ科なので、リンゴやナシに似ています。そのままにしておくと、切り口から色が変わるところもリンゴにそっくり。そういえばジャムも「ものすごく香りが良くて、味が濃くて、ジューシーなリンゴジャム」と言えないこともありません。種もリンゴやナシみたいです。
この種の周りにはゼラチン状のものが付いていて、触るとぬるぬるしています。この種を焼酎に入れておくと、数日で全体がジェル状の液体になります。良いにおいの保湿剤の出来上がりです。ちょっとぬるぬるしますが、天然素材のハンドクリームとして知り合いに喜ばれていました。
焼酎に入れて、まだほんの数時間なのに、もう全体がどろっとしてきました。このままハンドクリームとして使用するだけじゃなくて、精製水で割って化粧水にする方法もあるようです。
マルメロといえば、思い出すのは「マルメラーダ」という言葉です。もう20年以上も前、親しくしていたポーランド人の家族がいました。ご主人が函館の大学で研究をしていて、家族5人で来日していたのです。奥さんのバルバラさん(バーシャさん)は日本語はもちろん、英語もほとんどわかりません。それでも誘うといろいろなイベントに積極的に参加していました。
そのころの私はいろいろな国の人たちと交流するサークルをやっていました。函館には研究職や留学生とその家族、そして国際結婚でやってきた外国の方が沢山いたのです。いろんな国の言葉が飛び交うなかで、料理を持ち寄ったり、函館山に登ったり、温泉に行ったり、仲間内でフリーマーケットをやったり。
そしてかならず記念撮影。みんなで「チーズ!!」日本人も韓国人もロシア人も中国人もバングラデッシュ人もインドネシア人も、そしてポーランド人ももちろん。みんな揃ってvサイン(^^)v。
自分の国では、写真を撮るときに何て言うの?そんな話題で盛り上がっていた時に、バーシャさんが「ポーランド、マルメラ~ダ」と言ったのです。みんな大爆笑。
だって「チーズ」というよりも「マルメラ~ダ」のほうが面白いんですもん。実際に言ってみてごらんなさいな。「ラ~ダ」と言うと口がポカンと開いて、ちょっと抜けた表情になります😊いいなあ、マルメラ~ダ
バーシャさんが、拙い日本語とジェスチャーで説明したところによると、マルメラ~ダは柑橘類を切って砂糖で煮たもの。それマーマレードじゃん。そうかあマルメラーダ・マーマレード、同じものなのね。言葉が似ているものね。
ここで、ん?、それならマルメロだって似ているぞ。大野町民(当時は大野町でした)の心の果実マルメロ。
調べてみると、マーマレードの語源がマルメロだそうで、似ているのも当然でした。ポルトガルで初めて作られたときにはマルメロを原料にしていたので、マルメロから転じてマーマレード。東南アジアが原産なのに、ポルトガルで初めてジャムになったなんて、じゃあ東南アジアではどうやって食べられていたんでしょう。ものすっごく酸っぱくて生食に向かないのに。
食も言葉も奥が深い。だから面白いんですけどね。
そういえばポーランド人のバーシャさんは英語が話せません。ポーランドの学校では(日本人が英語を習うように)ロシア語を習うそうです。それなのにポーランドで飼っていた犬の名前は「ハッピー」だったそうで、これもまた可笑しい話です。
出来あがり〜❤ヨーグルトにかけるとこんな感じです。
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