(これは何の実かわかる? ジャムやコンポートにすると絶品!!)
先月の猛暑が続いていたある日のこと、朝起きたら冷蔵庫が、壊れておりました・・・(涙)
そういえば数日前から、音が大きいというか、ずいぶん唸ってるなぁとは思ってたんです。暑い日が続くから、冷蔵庫さんもガンバってくれているんだと、のんきに感心してました。
冷凍庫のアイスが全部液体になってるのを見た時のショックといったら!
わたしのブドウ味キャンデが、わたしのチョコバニラアイスがぁ、わたしの(以下ずっと続く)
とりあえず、冷凍品と生ものをシエばあちゃんちの大型冷蔵庫へ避難させて、新しい冷蔵庫はすんちゃんとポヨに一任。私の希望はひとつだけで「自動で氷がつくれるもの」です。氷がいつでも使い放題に用意されているのはとてもぜいたく。付属のプラスチックのスコップですくって、アイスティをつくったり料理に使ったりするたびに、小さな満足感をおぼえていました。
すんちゃんは「第一希望が自動製氷って変じゃない?もっと大事な機能があるんじゃないの?」とぶつぶつ言ってましたが、それ以外はおまかせして、私は実家の片づけにでかけたのです。
一週間後に戻ってみると、ピカピカの新顔くんが台所にでんっと、鎮座ましましておられました。色は濃い茶色で、かすかに木目調です。ものすごい存在感です。
一目で気に入ったのは、野菜や調味料がきちんと入っていたからではありません。製氷機が氷を作ってくれていたからでも。(もちろんそれもうれしかった)
”やまんば山の食糧貯蔵庫”を思いだしたからです。「うわ、柏のパントリーだ」とうれしくなりました。
いままで読んだ児童書のなかで、いちばん素敵な保存食がでてくるのがこの本。降矢奈々さんの挿絵もとても良いです。
『やまんば山のモッコたち』 富安陽子/作 降矢奈々/画 福音館書店
おいしいものがでてくる本はたくさんあります。食べる場面も絵本にはよく出てきます。でも貯蔵庫はそんなにありません。(「14ひきのシリーズ」には冬ごもりのために棚いっぱいの保存食がでてきますが、これもうらやましくなるくらいに、みんな美味しそうですね。)
やまんば山に住むやまんばは、のっぽでつよくて力持ち。小さな娘・まゆと暮らしています。髪の毛をおだんごに結って、まゆとおそろいのワンピース(ちょっとちがうな)を着ています。やまんばが保存食をしまっているのは、柏の木のうろの中です。
この柏の古林は全体が、山姥の大きな冷蔵庫だったのです。林の木の一本一本の古い幹の中の洞には、この秋山姥が作った、お酒やジャムや、干したお魚や木の実がどっさりしまってありました
「やまんば山のモッコたち」 柏林 より
雪の中を、やまんばとまゆが林まで食料をとりに行く場面があります。大きなかごを三つ、雲に積んで飛んでいくのです。一つ目のかごには干し魚とたくさんの木の実(栗やドングリ、カヤやクワ)。二つ目のかごの中のガラスビンにはヤマモモのお酒、さいごのかごに干しキノコ(シイタケ・マツタケ・ハツタケ・クリタケ)
やまんばがかごに必要なものをかき出しているあいだ、まゆはそれぞれの柏に抱きついて匂いをかいでいます。「栗のみつ煮」が入っている木をあてたら、やまんばかあさんからごほうびをもらえるからです。
まゆが顔を押しつける柏の木は、じつにさまざまな匂いがしました。干しシイタケや薬草の、ちょっと苦々した匂いから、山モモの砂糖づけや、ヘビイチゴ、木イチゴの甘いジャムの匂い。酔っぱらうほどなみなみとお酒の入った木も何本もありました。とうとうまゆは、何十本もの柏の木の中に、甘くうっとりするような栗の蜜煮の匂いを見つけだしました。
「やまんば山のモッコたち」 柏林 より
おおきな栗の蜜煮を口に入れてもらって、まゆは自分が「世界一しあわせな山姥の娘だな」と思うわけです。
木の洞にいろんなおいしいものが詰まった柏が、何十本も!!!!!
山ナシのジャムやら、山モモの砂糖煮やらがたっぷりの木が、何十本!!!!
うらやましすぎます。全部食べてみたい。こんな貯蔵庫ほしい。
保存食を作るとき、普段の食事の支度とはまたちがった楽しさがあります。漬物にしてもジャムや干し野菜にしても「今すぐは食べないけどいつかは食べられる」といった安心感があるのです。
もうすぐ実りの秋。今年は何をつくりましょうか。とりあえず、毎年たくさんつくるこれ。
まだまだ色づいてもいませんが、マルメロです。香りがいいので収穫時期には、温泉には「マルメロ湯」も登場します。酸っぱくて渋いのでそのままでは食べられませんが、ジャムにするとさわやかな風味で、とてもおいしいです。
はじめてマルメロの砂糖漬けをたべたとき、あまりのおいしさに何度かお代わりしたほどです。シエばあちゃんは(そのころはまだばあちゃんではなかったけど)きっと「良く食う嫁だなあ」とあきれたに違いありません。
コメント
茶色の木目調冷蔵庫、素敵ですね。最近またちょっと蒸し暑い日が続いているので、冷蔵庫さんも働き甲斐があるというものでしょう(*^-^*) マルメロの実って初めて見ました。以前ジャムはよくいただいていて私も大好きだったのですが、勝手に大きな楕円を想像していました。かわいらしいですね。マルメロ湯…そんな温泉があったとは、興味が湧いてきました。
すとらとさん、マルメロジャムがお好きだとは!!
実は熟すると黄色くなります。大きさはリンゴくらいで、たぶん同じバラ科だと思います。種の形なんかがよく似ていますので。秋が深まると、地元の農産物販売所で買い込みます。
昨年はその季節には帰宅できなかったので、マルメロジャムがもう残ってません。早く食べたいです。