犬はよろこび、大通り駆けめぐる

あれこれ

(これからお散歩に出発!! すんちゃんを見上げる期待に満ちたまなざし)

ばあちゃんちの飼い犬・カセンの話です。常日頃から思っていたんです、カセンって、犬って何か楽しいことあるのかなって。

毎日おんなじメニューの食事が1日に2回。それ以外は外の犬小屋の中でただ黙っているだけ。おもちゃもないし、テレビもないし、訪ねてくれる友達もいないし。趣味を持つとか、人生(犬生?)とはなんだろうなんて哲学的なこと考えるとか、そんなのは何にも出来ない。

つまらないだろうなあ。ひたすらお散歩を待つだけの自分の境遇について、何か不満とか疑問とかないのかなあ。

カセンについては、そんなふうにちょっと同情していたんです。まあ、上から目線で、と申しましょうか。それが見事に「しっぺ返し」をくらいました。

以前にも書いたことがありますが、私は「ペット」を飼ったことがありません。犬とのつきあいも、カセンが初めてみたいなもんです。なので、余所のうちのワンコはどんな感じかはわかりません。でも「お散歩だよー」と引綱に付け替えるときの、はしゃぎっぶりといったら、もう。うちの中型犬でこの騒ぎなんですから、大型のワンコなんて私の抑えが利かないのでしょうね。

問題はカセンの首輪が大きすぎたことなんです。大きいなあとは思っていたんだけど、飼い主(イコール 首輪の代金を払う人)のシエばあちゃんが「きついと苦しそうだからね」とゆるい方を選んだんだから、しょうがありません。

写真でもわかるように、かなりゆるいです。これはアブナイです。でもあぶないなりに半年近くも使ってきたんです。

夕べのお散歩は私の番でした。もう日が暮れるのが早いので、16時40分くらいから始めた散歩の途中で、薄暗くなってしまいました。いつもの川沿いとは違う、商店街のほうへ向かって、コンビニの駐車場で一休み。

そこで引き綱と、カセンの首輪の角度がちょうど良い具合になっちゃったんでしょう。ふと気づくと私は輪っかだけの引き綱を持っていて、足元のカセンは何にも付けずに立っていました。

ま、まずいっ

同時にカセンも、自分が輪の外にいることに気づいたようです。コンビニの横の信号機を見上げると(青信号を待ったんじゃなくて、単に電気がついてきれいだからだと思う)、本当に「るん♪」という感じでステップをふんで横断歩道を渡り、そのまま左折して赤信号の横断歩道も渡り・・・。

そしてまたいろいろ横切りながら、好き勝手な方角に飛び跳ねていきました。私はカセンの赤い引き綱を振り上げながら、停車してくれた車の列に「すみませーん」とあやまりつつ、後を追いました。

そのあとのあれこれは、もう書きますまい。何度も走ってくる車の前に飛び出したとか、私のスマホの万歩計が6000歩にもなっていたとか、結局自分の小屋に戻って水を飲んでいたところを捕まえたとか、そんな事はもう言いません。

途中で加わったシエばあちゃんと私の、カセンを呼ぶ大声が静かな住宅地に響いたとだけ、言っておきましょう。

それにしても犬は、首輪をしていないと、本当に掴むところがありませんね。何度か接近できたけど、するりっと逃げられてしまいましたもん。

普段おとなしくしてるけど、ワタシだってやるときゃやるわよ。昨日のカセンったらそんな感じでした。

そういえば、ちょうどコンビニの前で追いかけっこを始めたときに、17時のメロディが流れていました。「赤とんぼ」です。夕方に「赤とんぼ」を流す自治体はけっこうあるでしょう。なんだか物悲しいメロディが夕暮れにピッタリですもんね。

ところが北斗市では、お昼12時にも「赤とんぼ」が流れます。市民はもう慣れっこなんですが、他の地域に住んでる方は妙な感じがするようです。

これは「赤とんぼ」の作詩者・三木露風が、北斗市にあるトラピスト修道院に教師として赴任していた時に作詩したものと云われているからです。新函館北斗駅前にある郵便ポストの上には、ゆるキャラのずーしーほっきーが座っていますが、よく見るとその頭に「赤とんぼ」がとまっています。

ポストの側面にも「赤とんぼ」。ずーしーほっきーの頭の上のとんぼは、角度が悪いので良くみえません。

みどりの矢印のところです。赤とんぼはよく見えないけど、ずーしーほっきーのおなかの「酢飯」がよく見えますね。

コメント

  1. すとらと より:

    縄抜けならぬ、首輪抜けですか…やりますね、カセンさん。その顛末が目に浮かぶようでニヤリとしてしまいました。
    カセンさんのお食事が毎日おんなじメニューというのは、私たちから見ると文字通り味気ない犬生に思えてしまいますね。でもひょっとしてカセンさんの方も「人間はいろいろなものを食べなくちゃならなくて大変そうねぇ。わたしはこれだけで健康維持ができるけど」とか、ちょっぴり上から目線で見ているかも…!?

  2. 本当にそうかもしれません。なんだかいつでも、カセンのほうが偉いような感じがしているんです。彼女もそう思っているのでしょう。

    でもねえ、カセンが軽い足取りで横断歩道を渡ったり、車の前を横切ったりしているあいだ、私は生きた心地がしなかったのですよ。ぜったいぜぇったい、車か自転車か歩行者にぶつかって、大変なことになると思ったんです。

    あ~。無事でよかった。