それぞれの主張・認知症母とその息子とかお医者さんとか

じん子母さんの葬儀後に怒涛のように手続きやら連絡をして、これでとりあえず一安心と北斗に帰って来ました。そうしたら１番早い「返信」がもう先に自宅に届いてました。灯油会社さん、1番乗りでしたよ、すごいっ！

公共料金の引き落とし口座を変更するのに、電気・水道・ガス・灯油会社に連絡しました。じん子さん口座かららんどく口座への変更です。電話は去年のうちに契約解除してあるし、NHKは今年の分を年払いしてあるからまだ大丈夫。今はあちこちから口座変更届（と、今月分の支払い請求書）が送られて来てるところです。

さらに加えてお墓の持ち主変更と火災保険の名義変更、某デパートのカードを止めて・・・何だかまだ忘れてる事がありそうだなあ。家族葬に連絡出来なかった知り合いへのお知らせハガキも出さなくては。悲しんだりしみじみしたりする時間はありません。

ところが油断していると、ひょいと足を掬われる事があります。思いがけない所から「ほらほらこんな思い出があるよ」光線が来るというか。

らんどくのスマホで写真を撮ると、Googleフォトという場所（？）にデータが溜まります。このGoogleフォトにはいろんな機能がついてるんです。自動で（頼んでもいないのに）「最近のハイライト」「最近の旅行の思い出」とかそういうのを教えてくれるんですね。自宅から離れた所で写真を撮ると全部「旅行だ！」と認識されるようで、このところの「最近の旅行の思い出」に（勝手に）出てくる写真は葬儀の様子です。もうブラックユーモアです。

Googleフォトで毎度、不意を突かれるのは「2年前の思い出」「1年前の思い出」という機能で、このアプリを開いてない時でも唐突に画面に出てきます。2年前のこの時期に動画で撮影した「怒って物を投げるじん子さんと、彼女を諫める弟ハロ」が、このところ毎日出てきます。まあ「2年前の思い出」には違いないですけど、これは不意打ちというか、ちょっとじわっと来ますね。

ちょうど1年前は子ども達が集まる施設でこんな玄関飾りを作ってました。花火は紙コップ

動画の中のじん子さんが主張してるのは「なんでこの変な女が家にいるのか」で、変な女ってのは実の娘である私の事です😥眉間に縦ジワを入れまくり、テーブルを叩いて抗議しています。あー、この頃は”家を乗っ取りに来た見知らぬ女”だったり”夫に色目を使うズルい女中”だったりしたよなあ、私。そしてじん子さんに「夫」と認識されていた息子ハロ君が、理論的に諌めようとするのがまた、火に油をそそぐことになります。ほら、とうとう悔し泣きを始めました。

どうしてわかってくれないの、この人は家を乗っ取るつもりだ！と、認知症患者の妄想はどこまでも果てしないです。息子ハロは「いったいどうしちゃったの？お母さんはそんな人じゃ無かったでしょう」って語ってるけど、要介護認定者に道理を説いたってダメじゃないかなあ。娘・らんどくはじん子母さんの投げつけた物が当たらないように、少し離れて動画撮影。２人のやりとりがとんちんかんなので、時々笑ってしまいます。（そして更に怒りをかう）

当時通っていた病院に「じん子さんの暴言はこんなです」と見せるために撮影してたんです。多くの患者さんとおんなじように、じん子さんもお医者さんの前では明るく元気な母さんでした。運動もしてるしご飯ももりもり（娘から見たら嘘八百）。こんなにいい患者してるんですから、娘や息子が「もう少し穏やかになるお薬はありませんか」とか訴えてもね。なかなかお医者さんに伝わりませんでした。

札幌でも人気で初診予約の取れない病院でした。漢方薬を中心に処方していて（つまり効き目穏やか）、家族や周囲の愛の力で「認知症患者さんにも平和な日々を」みたいなのがお医者さんの方針でした。私達もとても好きな先生でした。確かに素晴らしいです、その理想。周りがみんな、頑張れるなら。じん子さんはデイサービス系をいくつか経験して、近所の小規模多機能施設では「協調性がなさ過ぎなので、このままでは他の方に迷惑が」とやんわり退所を匂わされてましたから、お薬を少し変えてもらうしかありません。

どうにもならない自分にイライラしているじん子母さん。じっくり語れば伝わると信じる、優しくて穏やかな弟ハロくん。認知症患者さんにも人権を、と慈悲深い病院の先生。あっちを立てればこっちが立たず、理想と現実に悩むデイサービスの職員さん。みんな、いい人なのになあ。それぞれの主張や思惑が違って、困りながらも笑うしか無い事もありましたね。

さて他人事のように書いてる私・長女らんどくはどうしてたんでしょう。6月、７月あたりが１番大変だったかな。だって今より5-6キロ痩せてましたもん。４月から始めた札幌での仕事でもいろいろあって、なーんと今まで履けなかったズボン（古いっ）がスルリと入っていたんです！これは少し苦労せよということでしょうね。