ヒミツの暗号?ことばは不思議です。

あれこれ
ニャティティ奏者アニャンゴさん

「 Google アナリティクス 4 プロパティがクロスチャネル型データドリブン アトリビューションにアップグレードされます。」

もう一度書きますね。 「Google アナリティクス 4 プロパティがクロスチャネル型データドリブン アトリビューションにアップグレードされます。 」こんなメールが来て、ふんふんなるほどと思える脳みそは私にはありません。

これは怪しいメールでも何でも無くって、単にらんどくの理解力が足りないだけです。その証拠に、ねえねえこんなメール来たって困るよねえ、とすんちゃんに同意を求めたけど「え、でも必要だから来てるんだよね?」と軽く流されました。出来る人には出来ない人の気持ちがわからないとはよく言われますが、本当でした。

このぜんぜんわかんないメールの中で、私がわかるのは「アップグレード」だけ。かろうじて「プロパティ」も行けるかな。なんでもかんでもカタカナにするな!という怒りは誰に向ければよいのでしょう。

それでも今は自宅にいて、すんちゃんやピカに「なんなんだー、これ」とか言って甘えているからわかんないんです。もし異郷の地でひとりぼっちで、そしてこれが何が何でも解読しなくちゃいけないメールだったら、どんなことしたって読みますよね。何度も何度もにらみつけて、文章の法則性みたいのを見つけようとするでしょう。言葉を覚える一番のモチベーチョンは「それが必要だから」ですからね。この呪文みたいなメールだって、落ち着いてよく見るとたった3つの単語でできています。

「 Google アナリティクス 4 プロパティ」 が 「クロスチャネル型データドリブン アトリビューション」 に 「アップグレード」されます。

これならなんとかなりそうです。はじめと次のカッコはどちらも固有名詞で、「1」が「2」にアップグレードされるというわけですか。ふむふむ。ところで「でーたどりぶんあとりびゅーしょん」ってどこで息継ぎするの?

玄関の小窓のぞうさん。軟石でできています。パオーン。

北斗市の隣の観光都市函館には、たくさんの外国の方々が暮らしています。留学生やその家族、働きにきた人、国際結婚した人。「国際交流と多言語」のサークルに入っていたころは、そんな外国人の方々とのお付き合いがありました。ポヨとピカがまだ小学生のことです。いろんな国からのホームスティを受け入れたり、留学生の家族と集まってお茶会したり、数十人も集めて函館山に登ったり・・・

ある年のクリスマスに、大学の研究生たちからポットラックパーティに誘われました。何か一品持ち寄りでのクリスマス会です。サークルの仲間と参加すると、出迎えてくれたのは中国・インドネシア・バングラデシュ・韓国など本当に多国籍なメンバーでした。ここでの公用語(?)はもちろん日本語です。片言ながらも話が通じるのがすごいなあと感心してました。ホットウイスキーにブラウンシュガーを入れたのを手渡してくれたのは、サンタクロースにそっくりなアメリカ人。殺風景な研究室で、日本のスナック菓子を広げてみんな楽しそうです。

突然、中国人さんが立ち上がってグラスを(しかも紙コップ)掲げました。「かんぱーい。アメリカばかー!」

へ?今、アメリカ馬鹿って言ったよね。

すわ、国際問題か。とドキドキする日本人の胸の内など知らず、次々立ち上がって「かんぱーい、アメリカばかー!」「かんぱーい、アメリカばかー」 ああ、「ばか」のリフレインはやめてほしい。おそるおそるサンタクロースおじさんを見ると、彼も周りも大受けで笑い転げています。いい具合にアルコールも回っているのでしょう。そしてこれはいつもの事なんでしょう。部外者にはわからない、彼らだけのコトバなんですね。

楽しそうだなあ、そしてやっぱりアメリカは流石だわーと思ったのでした。(アメリカ以外のどの国を入れても「なんだ、この野郎」となりそう。「日本ばかー」「何だと、もう一度言ってみろ」)

さっきの小窓のぞうさんが、反対側の壁に影絵になって映りました。

ところで、先ほどの「ばかー」の口火を切った中国からの研究生さん。彼の奥さんは日本の方でした。大学のすぐ近くの集合住宅に住んでいて、生まれたばかりの女の子を育てていました。遊びに行くと、これまた生まれたばかりの赤ちゃんを連れたコートジボワールのレオさんもやってきて、それを聞きつけた同じアパートの韓国のパクちゃんやら、エジプトのサラさんやらが子連れでやってきて、もう自分が何人かもよくわからなくなったものです。今この人たちは、そして私は、何語で何て言ってるんだろう。その混沌が実に心地よくて、国の違いなんて些細なことだよなあと感じたりしていました。

それでも、やっぱり違うことがある。そう思ったのは、中国人のご主人と日本人の奥さんが散歩をしているのを見たからです。大学は、大野新道という我が家の近所からずーっと真っすぐ伸びている道路沿いにあるので、私は車でよく通ります。わりと寂しい界隈で、歩いている人はそんなにいません。そんな道をお天気の良い夕方に、ご主人が奥さんの肩をしっかり抱きよせて歩いていました。これは日本人にはできないわー。普通のご夫婦なのにかっこよすぎです。

ところで多国籍な友人たちは、今どうしているのでしょう。すんちゃんの転勤でしばらく離れているうちに、国際交流と多言語のサークルは解散していました。大学の研究生のご家族はそれぞれ次の場所へ移って行ったようです。今のように携帯も持っていなくて、それどころかパソコンもこんな風には使っていませんでした。今なら連絡とれるのに、メールもできるのに。

でもその場合は、何語でメールを書けばいいんだろう。みんな日本語は話せたけれど、読めないかも。そしてパソコンが日本語表記にならないかも。

日本の各地へ移った家族もいるようです。そんな誰かが、このブログに辿り着きますように。そして、日本語もすらすら読めて、あれ?らんどくちゃんだと思ってくれますように。

はじめの写真はニャティティ奏者のアニャンゴさん。ニャティティって何?そもそも何語?「ことばは不思議」だけど「音楽もまた不思議」です。日本人の向山恵理子さんが、いかにして東アフリカのルオ族の伝統楽器ニャティティの奏者・アニャンゴになったのでしょう。

2009年、Newsweek誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた彼女の著作。自国のものではない言葉や音楽と出会い、身に着け、生業とするのに必要なものは何だろうと考えさせられます。運や縁でしょうか、それとも強い意志でしょうか。

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コメント

  1. ナツメグ より:

    らんどくさん、こんにちは!
    カタカナ文字の羅列、最近ほんと多いですよね(-.-) 私は「必要だから」来てようと、自分に「必要ない」ものは瞬時にゴミ箱行きなのであまり悩んだことはないんですけど、後でツケが回ってくるかもしれません。ところで知りたいと思ったら単語単位でならすぐにググれる時代でもあるんですよね。とすれば問題はやはり息継ぎ箇所を分かりやすくすることではないかと。カタカナ羅列には言葉の最小単位ごとに記号(スペースでもいいけどハートマークとかでもいいかも)を入れることが義務付けられたらもっとわかりやすい世の中になる気がします。
    世界中にいるらんどくさんのお友達はこのブログを見たら日本語がすらすら読めなくても、写真を見て素敵だな、とか面白いな、これ何だろう?とかいろいろ想像を膨らませてくれると思います(*^-^*)