(今日の写真。お値段安定の豆苗です。1度目を半分くらい刈り込んでみたところ。残りが好き勝手にあちこちに向かって伸びた結果、こんな芸術っぼくなってます)
「ゲージュツは爆発だあー!」と言ったのは岡本太郎さんでしたね。天才が天才たる所以、力強いパフォーマンスが好きでした。
ところが、今この「芸術は爆発だー」で検索すると、上の方に「芸術は爆発だー、の元ネタ」という検索ワードがでています。どうやら若い世代にとっては、岡本太郎さんも太陽の塔も「元ネタ」になってしまったようです。
先日、何と手作りの飯寿司をいただきました!大層うれしいです。飯寿司はイズシと読んで、北海道の郷土食です。手作りのものを食べるのは、いったい何年ぶりでしょう。
らんどくの母(ジンコさん)は道東の生まれです。チヨおばあちゃんが羅臼(ラウス)の人で、リスケおじいちゃんとは釧路で出会ったそうです。おばあちゃんの生家は漁師の網元だと聞いたことがあります。
毎年冬になると、釧路に住んでいるあっこおばさんが手作りの飯寿司を送ってくれていました。今回頂いたような立派な紅鮭じゃなくて、もっと白っぽい秋鮭でした。缶いっぱいに詰めてあった飯寿司は、本当に美味しくて、届くのを楽しみにしていました。
あっこおばさんは母の姉さんで、今年89歳になるはずです。高齢になって、イズシを作れなくなってもう随分たちます。母もこれが好きなもんで、届かなくなってからは、あちこちの有名な水産会社のものを買ってみたようです。
いろいろ試したけれどここのが美味しいと、毎年札幌駅前の大きなお店で飯寿司を買っていました。らんどくの家にくれる「お歳暮」はこの飯寿司か、鵡川の大野商店のシシャモでした。どちらもお値段立派です。今思えばらんどくの実家は、エンゲル係数が非常に高かったんでした。
もちろんお店で売っているものは、美味しいです。美味しんだけど、やはりおばさんが送ってくれてた飯寿司の方が、好きだなあと思ったりしてました。酸っぱすぎなくて、野菜にも鮭の風味がしっかり染みているんです。
ちょっとだけお醤油をかけると、また違った美味さで、ご飯のお供と言うよりも、ご飯要らずでこれだけ食べられました。
ここで、飯寿司を知らない地方の方は「ん?」と思ったはず。飯寿司って寿司だよね。鮭の押し寿司みたいなものだよね?ご飯のお供ってどういう事?野菜も使うの?
飯寿司は「寿司」とは書きますが、寿司じゃなくて漬物です。馴鮓(なれずし)の一種で、魚と大根なんかの野菜を米こうじと塩で漬けて発酵させたものです。
魚はホッケを使ったり、ハタハタとかタラを使ったり。今回頂いた紅鮭は、それはもう高級品で、もったいなくて食べられない感じがします。とか言っても、もう全部食べちゃったんですけどね。
この「手作り飯寿司・紅鮭バージョン」は、久しぶりに食べた本物の飯寿司って感じでした。味噌や沢庵や手打ち蕎麦なんかもそうですが、手作りのほうが、断然美味しい。味が濃いわけでもないのにしみじみ美味しいんです。これはどういう訳でしょう。
この本に謎を解く鍵がありました。
らんどくの食べ物関係の本棚にあったこの本。いつ手にいれたもんだか、全然覚えていません。さすが「乱読積ん読」です。飯寿司について何か資料を持ってなかったかなーと、1番大きな本棚の前で唸っていました。ふと見るとポヨがこの本を読んでました!すごいタイミングです。
それ、ポヨの本?と聞くと「いや、そこ(らんどく巨大本棚)に立ってた」。これを親子のテレパシーと呼ばずして何と言うのだろう。
市販のいずしはボツリヌス菌の繁殖を防ぐために、水分をすくなく、酸の成分を多くしているのでいずしそのものの味がかなり損なわれている。漁村で自家用に作るいずしと食べくらべると、市販のいずしは別な食品と思える。本物の味が失われていくことは、実に淋しい気がする。
「北海道の食」 225ページ (11)いずし・きりこみ・しおから・めふん
市販のいずしは「水分をすくなく」「酸の成分を多く」してある。そうです、これです。買ってきた物は思ってたよりも「酸っぱくてパサパサ」してるんです。本来ならば、ねっとりした魚としっとりした大根・キャベツ。(そしてそこにお醤油。)それが飯寿司の持ち味なのに、市販品・ザンネンッ!といった感じです。
多分、手作りの沢庵や蕎麦が格別なのもそういう事でしょう。手作りの食品は超長期保存を目指してるわけじゃないですからね。食べきれる分だけ作ってすぐ食べる。シンプルです。
長く保存したいものは、発酵させたり塩漬けしたり、干したり乾かしたり煮詰めたり、冷凍したりしなきゃなりません。自分でこれ全部をするのはとても大変です。手作りでがんばって作る、お店で美味しそうなものを買う。どちらがいいともどっちがどうとも、言えないし言わないけど、どちらかだけに偏ってしまうのは良くないですね。極めすぎると疲れてしまいますもん。
俳優の松坂桃李さんがでているハウスメーカーのCMが、まさにそんな感じでしたね。奥さんが妊娠したので、突如自給自足に目覚めた夫(松坂さん)。狭い庭に井戸を掘り、田んぼを作って稲を植え、牛を飼って乳を搾り、機を織り・・・だんだん「原始人ルック」になっていく夫を余所に、一人で出産に挑む妻。そんなに苦労しても出来たお米は両手の平に載る程度で、「これだけ・・・?」とつぶやく夫を赤ん坊を抱いた妻が(ある意味冷ややかに)見ている。【大和ハウスCM 「自給自足編」】
これは何度見ても可笑しいです。過ぎたるは及ばざるが如し。そんな四字熟語が浮かびますが、もちろCMの趣旨は違います。(「庭を広くしましょう」というものでもありません。念のため)
あんまり頑張りすぎずに、作ることや食べることを楽しめるあたりが一番いいです。厳冬は保存食つくりにはそんなに向かないけれど、春になったら何を仕込もうかなあとゆるゆる考えるのには、とっても向いています。冬眠寸前のねぼすけ頭で春の夢を見るのもまた楽し、です。
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コメント
こんばんは、らんどくさん。いずしも北海道の郷土食だったんですね。
北海道に住んで半世紀(←控えめに書いておこう(^^ゞ)、何も知らず北の大地の恩恵にたくさん与っていたのだなあ…と感じ入る今日この頃です。私は「酸っぱくてパサパサ」も「ねっとり魚にしっとりお野菜」もどちらも好きです。作るのではなく食べる専門ですが…(^-^;
松坂桃李くんの大和ハウスのCMもなんかいいですよね。彼だから許される気がする。織田梨沙さんもかわいい!(*^^*)
すとらとさん、いつもありがとうございます。
北海道に住んで半世紀プラスαのらんどくつんどくです。(*^-^*)
冬は保存食がおいしいですよね。寒がりのすとらとさんは、お家の中でぬくぬくしているのでしょうね。
どうしたらコメントが届けられるのかわからずにいて、今初めてコメント欄にたどり着きました。我ながらパソコンが使えない・・・
たまに読ませてもらっています。「うん、わかるわかる。」「そうそうそうだよねぇー」とか思いながらも、「これはおもしろい発想だなぁー」とか、「此処に目をつけたか」というブログもあって、おもしろい。
無理せず、楽しく続けてね。
今、お互い介護とも向き合いながら日々過ごしているけど、それをただ大変という表現ではなく、大変な中にも愛を感じるブログがすてきです。お互い、無理しすぎず小さな楽しみを見つけながら暮らしていきたいね。