カマキリとアオムシたちのジレンマ

むし

(数日前に投稿した”密集している朝顔の芽”。細い棒をさしておいたら、ほぼ全員が殺到しました。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』みたいです。)

夕方のカセンのお散歩に、すんちゃんはタモを持って行きました。カマキリの餌をとるためです。(虫取り網のことをタモとも言ったりしますね。水中の魚なんかを掬う網もタモ網というけど、厳密にはどうちがうんでしょう。)

昨日、シエばあちゃんちから戻ってみると、玄関にわりと大きなカマキリがいたのです。私の両手には、ばあちゃんの庭で採ったミョウガがどっさりあって、大量・大収穫とほくほくしながらの帰宅でした。

おお、カマキリじゃん!

実はわたし、こんなに大きいカマキリと対面するのは初めてでした。すんちゃんが孵化直前のカマキリの卵をもらってきて、豆粒というか糸くずみたいな小カマキリがうじゃうじゃいるのを見たことはあります。でもあれは吹けば飛ぶようなちびっこいもので、カマキリなんだか他の糸くず系の虫なんだか、わかりませんでした。

これ、どう見てもカマキリですよね。なんだかムラサキがかってるんだけど、でも立派なカマキリさんだ。とりあえず両手のミョウガを安全地帯にそっと置き、バッグの中から捕獲に使えそうなものを探す。未使用のマスクを数枚入れて持ち歩いていた、食品保存用のジップ袋にお入りいただくことにしましょう。

そうして夕方のお散歩に、すんちゃんがタモを小脇に抱えて出発したのです。

この日の収穫はイトトンボ2匹。我が家の虫カゴに引っ越したカマキリにとっての最初の晩餐です。それにイトトンボにとっては最後の晩餐。(違う意味で)

食べたり食べられたり、命を頂いたり差し上げたり。

生きていく上では、しょうがない場面でも、何だか考えこんでしまいます。トンボさんがかわいそうーとか、カマキリって残酷よねって気持ちはこれぽっちもありませんが。そんな事言い出したら、そもそもカマキリを捕まえてうれしかった私とか、LINEで報告を受けてすぐさま「育てる\(^_^)/」と返信してきたすんちゃんとか、その他もろもろの命のやりとりに関わることが「検証しなきゃならないこと」になります。

それよりもいつも思うのは、立ち位置を違えると、片方にとっての益者がもう一方にとっては極悪人になるってことです。イモムシやアオムシたち・小さくてうにうにしている者たち。それをたまらなく可愛いと思う私がいて、その反面、それらを捕食するカマキリとかもう少し大きい爬虫類や両生類も大好きで、エサを捕ってあげたいと思う私も同時にいます。なんだか不条理だなと感じます。

以前エゾサンショウウオを飼っていたことがありました。野山へ出かけて行ってそういうものたちに遭遇するのは、我が家では父・すんちゃんの専売特許です。息子たち二人にはそんな幸運は訪れません。(たぶん、息子らは父をうらやましがってはいないと思う)

いつもは虫が入っているプラ虫かごに、割れた植木鉢のようなもので「下に隠れられる住処」用のディスプレイをして、エゾサンショウウオのお家にしました。そして当時うちの庭に「売るほど」いっぱいいた小さなアオムシを入れてやると、アオムシはおいちにっ、おいっちにとサンショウウオの前を横切って、ぱくっと食べられてしまうのです。

私がジレンマを感じるのはこういうときです。

アオムシたちを指にのせて遊ぶほど好きなのに、そのまま指をエゾサンショウウオの住まいまで這わせていくとき。そして黒くて真ん丸な目をしたエゾサンショウウオが、んがあっと口をあけてぱくっと飲み込むと、それもまたかわいいなあと思ってしまうとき。罪悪感もなく、どちらかに肩入れすることもなく、そんな自分に何の疑問ももたず。

これはあれと似ているかもしれません。魚体を煌めかせて泳ぐ魚の群れを美しいなと思ったくせに、次の瞬間には釣れた魚を捌いて刺身でおいしく食べることと。

生きていくということは、何かを摂取して体に取り入れていくということです。肉でも魚でも、豆でも野菜でも、形はちがっても「命をいただく」ということです。いただいた以上は、粗末にしないで残さず感謝していただきたいです。それが自分のためだけではなく、エゾサンショウウオやカマキリのためだったり、アオムシや彼らに食われた葉っぱのためだったりしますが。

そんなこんなで話はすこしズレますが、我が家がこの頃「残さず丸ごといただ」いているのは、「米ぬか」です。昨年からお米や玄米を買っている福島県の農家さんが「良かったらどうぞ」と米ぬかを付けてくれるのです。銘柄は『ふく姫』。中くらいの大きさのお米で、すんちゃんのお気に入りです。食感も値段も、生産者さんの姿勢も。

いただいたぬかは、最初はぬか味噌に足したりしていたみたいです。私がいない時期だったので、詳しくはわかりませんが、余ったら畑の肥料にもしていたようです。前回届いたのを見ると、かなりたくさんのいい匂いのするぬかが同封されていました。量ってみると500グラムもありました。

生のぬかは酸化しやすいときいたので、フライパンで炒ってみました。ふわふわのものが500グラムというのはかなりの体積で、一番大きいフライパンが必要でした。20分ほど炒ってみると重さが400グラムになっていました。水分が飛んだんですね。

せっかくの新鮮な炒りぬかですから、がんばって使い切りました。香ばしくていい匂いがします。

① 100グラムはいつもの丸パンに、全粒粉の代わりにいれました。ちょっと酸味があって独特な感じ

② 大きな瓶にいっぱいの米ぬかふりかけを作りました。白ごま・韓国焼きのり・青のり・塩こんぶをかなり沢山いれたんだけど、見た目は米ぬか一色です。地味な味ですが健康になるような気がします。

③ バナナ入り柔らかクッキーに小麦粉の一部に入れました。粉類300グラム中、50グラムだけなのであまり米ぬかが入っているという感じはしません。

④ 残りは全部、ぬかみそに混ぜ込みました。ちょうど酸味が出てきて水っぽくもなっていたのでちょうどよかったかな。塩も足したから、明日の漬物の出来が楽しみです。

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